フリーゲーム「妹のドリームランド」開発室

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「ハッピーエンド」至上主義

最初に結論:
「ハッピーエンド」で終結させるには、しっかりとした手順を踏まなければ、ご都合主義として嫌悪されます。 ハッピーエンドに展開する、つなげると言う表現は適切ではなく、物語の書き手としては「収束させる」に近く、その風呂敷のたたみ方、技法を紹介します。

物語の終焉は、大団円じゃなきゃ盛り上がらない、嫌だ、という主張は良く聞きます。


わたしも、その一人です。 自作ゲームではマルチエンドを採用していますが、それは、ハッピーエンドやトゥルーエンドを盛り上げる目的が存在します。
マルチエンドを推したり、ツクったりする理由はほかにもあるのですが、それはまた別の機会に……

しかし、<温州みかん>と名乗る前のかつての私、リアル中二だった私は、このハッピーエンド至上主義が嫌いでした。
我が心の師、冴木忍先生※ラノベを読み漁っていた影響が、客観的には大きいのでしょうが、私自身その実感はありません。我ながら多感な時期の情操教育の強さを感じます。sen_noに近いです。

使い古されたお約束展開や主人公補正、ヒロイン補正を「安い演出」だと感じていました。
(外部からの声や圧力によって)無理やり方向を転換した。あるいは、後ろから組み込んだ設定※であると根拠なく信じていたのです。

その当時は、なぜそう思うのかがわかりませんでした。
2000年代後半のハーレム系、2010年代のなろう系などの批評に登場する「ご都合主義」「ご都合展開」という言葉を知って、ようやくその安っぽさが理解できました。

で、いやしくも表現者となった今、どうすれば理想の「ハッピーエンド」に導けるか、というポイントを押さえて考えているので、いくつか紹介します。

ベーシックなやつ

1 オープニングとエンディングのシーンを対比させる
2 そこで主人公や主要人物の成長がわかるエピソードを描く
3 そのための伏線とキャラクターをそれぞれひとつ作る
4 最終局面の決断を迫るシーンで、伏線とキャラクターを使い切る

だいたいこんな感じ、という標準モデルです

この過程のどこかに主人公の失敗を入れたり、ライバルの成功/しかし、それは主人公とは違う方法で を入れたりします。
ゲームでは戦闘イベントや探索要素として落とし込みます。
選択肢分岐は分かりやすいですが、ノベルゲームでもない限りそれは工夫がありません。

できなかったことができるようになる。 失った”モノ”を取り戻す。 といった「幸福」とはなにか? についての適した表現・演出は、先人の足跡からひろってくるのが良いかと思います。

一貫したテーマがあると評価が高くなりますが、細部にわたり一貫させるのは本当に大変なので要所要所で強調する、くらいのほうが成功しやすいです。
UI(ユーザーインターフェース)でほぼ最初から表示されているモノがエンディング分岐関わってくるとエモいです。 必然性とどんでん返しのダブル役満な演出です。

 

簡易的なやつ

宣言 → 達成
海賊王におれはなる」→ 未完なのでなんとも判断しがたいが、たぶん海賊王になる
一話のなかでも「食パンにジャム塗って……食って」→「うーん。食パンにバターとジャム塗って……」という使い方を最近見た

海賊 甲板作業でヒールはないだろ!

具体的な何かについては、各々作者の「思うところ」を入れてください。
自分の人生経験で克服したこと、できなかったことををベースにすると「魂」が宿ります。


解りやすい私の作品の例はこれです
アイシクルパレス

game.nicovideo.jp

テーマに寄り過ぎた失敗例
光の剣

game.nicovideo.jp


冴木忍 さえきしのぶ……インターネットの黎明期、作家個人が"ホームページ"を開設することそのものがとても珍しい時代。そして<炎上>という言葉さえなかった時代……今でいう「炎上」でサイトが閉鎖されるという経験をされた伝説のラノベ作家。

後ろから組み込んだ設定
わかりやすい例:エンディングで青い海・地球をだしたかったら、とりあえず海を赤くした演出・設定